物語
北高円寺のとあるカラオケボックスの一室にHEYJU(ヘイジュー)探偵事務所がある。
所長の元2課の刑事の湊兵吾(33)と元外務省の官僚の泊十蔵(35)が住居兼事務所で今日も暇を持て余している。
「猫がいなくなった」「誰か机いらないか探してくれ」「家庭教師見つけて」など、探偵と言うより、地元の便利屋の様な存在となっている。
来るのは家賃取立する大家と借金取りと地場のヤクザ、刑事も何かと顔を出す。
社訓『簡単な仕事は断れ!面倒な仕事は受けろ!』と、壁には貼っている。とはいうものの背に腹は代えられず何でもやる様になっていた。
厄災と忙しさは一致している。降って湧いたように依頼が飛び込んでくる。
何かとちょっかいを掛けてくるヤクザ花形が、消えた若頭を探してくれと言う。続いて準公務員の旦那の怪しげなアルバイトを突き止めてくれと言う依頼がくる。
あたふたと動く兵吾を尻目に、やる気があるのかないのか十蔵は事務所で電話番をしている。
そこに、新たな依頼が飛び込んでくる。『簡単』な依頼が…。
「一時間くらいで済むと思うんですけど、弁護士の東の使いの者ですって言って書類受け取って来てほしいんですよ」と、金髪の女輝石(22)が言う。輝石の可愛さにも惹かれ、能天気にも個人的に依頼を受けてしまう十蔵。
当日―。十蔵が目にしたのはヤクザの死体であった。警察、ヤクザに追われる十蔵と兵吾。こんがらがった紐はほどけるのか…。
事件は一転二転し思わぬ方向に転がって行く。
一般社会にいつの間にか浸食しているオレオレ詐欺。そして、そこに加担する普通の人々と闇の住人。金主、道具屋、コーチ、トレーナー、受け子、出し子。そんな中にも、愛が存在し、そして憎しみも存在する。
地方出身者の輝石は、逼迫していた。就活には金がかかる。リクルートスーツ、交通費、外食費も馬鹿にならない。そして、重要なのは顔。整形に金を掛けていた。必然的に通常のアルバイトでは賄えなくなり、夜の仕事からオレオレ詐欺へと・・・。
全ての依頼は一つの線に集約されていく。そして、兵吾が警察を辞める遠因となり、十蔵と引き合わせた未解決スモーキースマイル事件に繋がって行く。
アニメ『攻殻機動隊』において『笑い男』というシリーズをがあり、それをモチーフとした企業人誘拐脅迫事件がネット上で起こっていた。画面に映る脅迫者の顔は、『笑い男』をパクった様なスモーキースマイルと呼ばれるCG画像で隠されていた。
現代社会の闇と構造社会が作る歪みの中にこの物語はある。
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